花火大会や夏祭りなど、浴衣を着てお出かけしたい季節がやってきましたね。
せっかく浴衣を買ったものの、いざ着付けを始めると「ひとりで着るのはなかなか難しい……!」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
浴衣の着付けは、基本のポイントさえ押さえれば、誰でも簡単にできるようになります!
今回は、浴衣初心者でも簡単にマスターできる、時間が経っても着崩れしない「浴衣の着付けの基本」についてご紹介します。

これで準備OK!浴衣の着付けに必要なもの【まとめ】
浴衣を着る前にまずは、着付けに必要な小物が揃っているかを確認しましょう。
浴衣の着付けで最低限揃えておきたい小物は以下の通りです。
- 浴衣
- 帯
- 下駄、巾着、籠バック
- 腰ひも (2〜3本)
- 肌襦袢(はだじゅばん)・肌着
- コーリングベルト
- 帯板、前板
- 着物クリップ【便利グッズ】
中には「名前だけ聞いてもピンとこない……」というアイテムもあったのではないでしょうか?
写真付きで順番にみていきましょう。
浴衣
ないと始まらないメインアイテムです。
涼しげな水色や薄ピンクは不動の人気。
汗染みや汚れが気になる方は、紺色や紫など濃いカラーを選んでも良いですね。
帯(半幅帯・作り帯・結び帯)
浴衣に合わせる帯は、細幅でコンパクトな「半幅帯」を用いるのが一般的です。
はじめから飾りの部分が作られている「作り帯」・「結び帯」は着物初心者さんにおすすめですよ!
下駄・巾着・籠バック
浴衣を購入する際に合わせて手に入れたいのがバッグや下駄です。
可愛らしい印象を与えたいならコンパクトな巾着、荷物が多い方や大人っぽい浴衣に合わせるなら籠バックを選びましょう。
草履
クッション性が高く歩きやすい下駄を選べば、靴擦れの心配はありません。
腰ひも
浴衣の見頃を合わせ、腰と胸元に巻きつけて固定させるために用います。
本数は多いにこしたことはありませんが、最低2〜3本は持っておきましょう。
肌襦袢
肌襦袢(はだじゅばん)とは、着物や浴衣を着るための専用下着です。
薄い綿で作られていることが多く、
- 汗を吸い取って浴衣に汚れが着くのを防ぐ
- 着崩れを防ぐ
- 下着や体のラインが透けないようにする
など、さまざまな役割を果たしてくれます。
涼しげなピンクや白の浴衣は、汚れやすく透けやすいため、できるだけ専用の下着をつけるようにしましょう。
コーリンベルト(着付けベルト)
別名「着付けベルト」と呼ばれる、浴衣の襟元・胸元のずれを防止してくれるアイテムです。
両橋にクリップがついていて、身長や胴回りの長さに合わせて調整できます。
「どうしてもコーリンベルトがない!」という場合は、腰ひもを多めに使っても良いでしょう。
伊達締め(腰ひもで代用可)
伊達締め(だてじめ)は、着物の胸元、襟元、おはしょりの底をまっすぐに整えるための補正アイテムです。
バスト下(腰骨よりも少し上)で固定することで、おはしょりの膨らみをおさえ、より美しい着物姿に近づけることができます。














帯板(前板)
帯板は、帯の見た目をすっきり美しく整えてくれるアイテムです。
着付けで帯を閉める際に、前側の部分に挟み、帯のシワを防ぎます。
別名「前板」とも呼ばれており、通気性の良いメッシュタイプなどさまざまな種類が展開されています。
【便利グッズ】 着物クリップ (洗濯バサミで代用可)
襟の中心を決めて固定する、着物専用の着付けピンチです。
着付け中の着物のズレを防いでくれるので、初めてひとりで着付けをする方や、「着付けをしているうちにどんどん崩れてしまう……!」という方におすすめです。
洗濯バサミでも代用が可能ですが、浴衣の生地は繊細ですので、できるだけ新しく綺麗なものを使いましょう。
【初心者でも簡単】浴衣の着付けの手順をご紹介!
必要なアイテムが揃ったら、いよいよ浴衣の着付けに入っていきましょう。
<strong>浴衣の着付け前に最終チェック!</strong>
・アイロンかけをするなど「浴衣のシワ」は伸びていますか?
・着付けに必要なセットは手に取れる位置にありますか?














浴衣の下に身に着ける!肌襦袢(はだじゅばん)・肌着の着方
肌襦袢を羽織り、付属のひもを軽く結びます。
「肌襦袢」の上から補正タオルを使ってウエスト部分の凹凸をなくす
続いて、ウエスト部分などからだの凹凸がなくなるように、フェイスタオルを使って補正していきます。
① フェイスタオルを2つ折りにし、腰回りに巻きます。
② 腰ひもの中心をタオルの前部分にあてて、後ろで交差させて引っ張り、もう一度ひもを前に持ってきます。
④ 紐を結ぶ際には、下から上にひもを2回ほどくぐらせて左右に引っ張りましょう。
⑤ あまった腰ひもは、隙間にくるくると巻きつけて、固定させます。
肌襦袢(はだじゅばん)・肌着の完成です。
浴衣を羽織って「背中線」と「裾丈」を決める
浴衣を羽織りましょう。
① 両袖を持ちながら左右に揺らし浴衣の中心と背中の中心を合わせます。 浴衣の襟元から3分の1くらいの部分を両手で持ちます。
※腰ひもを結び終わるまでは、できるだけ浴衣をピンッと引っ張っておくのがポイントです。
※ 着物の裾はくるぶしの位置に合わせます。
浴衣が「右前」になるように着用する
②左手の浴衣を持ち上げ、右脇の下に手を添えます。
※このとき、左手で持った浴衣の裾が右のくるぶしに来ているか確認しましょう。
③ 次に右手の浴衣を、左脇の下に入れ込みます。
※余った生地は小さく折り畳んでおきましょう。
④ 右手を固定したまま、左手で持った浴衣を上からかぶせクロスさせます。
⑤ 左手で腰を抑えたまま、右手を脇から抜きます。














腰ひもを結ぶ
① 左腰のでっぱった部分に腰ひもを前からあて、後ろでクロスします。
② 再び腰ひもを前に持ってきて、下から上にくるくると2回通して結びます。
③ 腰ひものあまりをくるくると巻きつけて、固定させます。
シワを伸ばして「おはしょり」の土台を作る
ウエストのシワを伸ばして、美しいおはしょりを作りましょう。
① 背中側に手を回します。腰紐に両人差し指を差し込んで、左右にシワを伸ばします。
② 両側の身八つ口(脇下の空洞部分)に両手を入れて、下に下ろすようにシワを伸ばし、おはしょりの土台を整えます。
衣紋(えもん)を抜く
衣紋(えもん)とは、着物の後ろ襟の部分を差します。
着付けの世界では、襟を後ろ側に引き下げることを「衣紋(えもん)を抜く」と表現します。














① 喉元の凹みがある部分で両襟を合わせます。
② 両手で後ろの布をゆっくり引っ張り、衣紋(えもん)を作ります。真横から見たときに、こぶし一個分ぐらいの隙間ができると上品な印象になります。
③ 紐を結びます。
コーリングベルト(着付けベルト)で胸元・襟元を固定する
① コーリングベルトのクリップを開きます。
② 左の身八つ口(脇下の空洞部分)からコーリングベルトを通し、下前の襟をパチっと止めます。
④ そのままコーリングベルトを背中から回して平行に引っ張ります。
⑤ 上前をとめます。
⑥ コーリングベルトの下に指を通し、左右に広げたら完成です。
伊達締め(マジックベルト)で「おはしょり」を整える
おはしょりが膨らんだり、もたついたりしないように、伊達締め(マジックベルト)を使って整えていきましょう。
① 右手でおはしょりに手を入れます。
② おはしょりの下のラインが一直線になるように引っ張りながら、左側の上前を引きあげます。
③ 伊達締めを巻きつけて固定させます。
④浴衣の着付けは完成です!
簡単可愛い「浴衣の帯の結び方」をご紹介! 【文庫結びの手順】
今回は、簡単可愛い「文庫結び」の手順をご紹介します。














帯の基本「手」と「たれ」を理解しよう
帯の着付けを始める前に、基本的な帯の名称を押さえておきましょう。
<strong>帯の「手」と「たれ」</strong>
- 手:帯を結ぶときに半分に折って使う。リボン結びでは、飾りの「リボン部分」に当たります。
- たれ:「手」以外の部分。胴に巻きつけて使います。














「手先」の長さを決める
① 帯を右手の長さに合わせて折ります。
② 折った帯を右肩に預けます。
帯を開いて一巻きし「帯板」を挟む
① 手先以外の部分を開いて「たれ」をつくります。体に密着させたまま一巻きしてグッと締めます。
② 帯板を挟んで、さらにもう一巻きして締めます。
③ 2巻目の帯を中心に向かって斜めに折り上げます。
帯を結び「リボン」を作る
① 右肩に預けていた帯を下ろししっかりと結びます。
② 結び目を縦にしておきます。
③ 残りの帯を肩幅に合わせて折りたたみます。
④ さらに半分に折り、リボンの形をつくります。
⑤ 短い「手」を上からかぶせリボンの周りに2〜3周巻き付けます。
⑥ あまった帯は「帯」と「浴衣」の部分に入れ込みます。
⑦リボンの形を整えます。
「リボン」を持って帯を後ろに回す
①リボン部分を崩さないように後ろにまわします。
② 簡単で可愛い「文庫結び」の完成です














【半幅帯】浴衣帯の結び方・締め方の種類をご紹介!
細くて扱いやすい半幅帯は、着付け初心者でもトライしやすい帯アレンジがいっぱいです。
短時間で簡単にできる浴衣の帯(半幅帯)アレンジは次の通り。
- リボン返し
- カルタ結び
- リボン結び
- 貝の口
- お太鼓
挑戦しやすいものから順に、それぞれの「帯の特徴」を見ていきましょう。
リボン返し【超初心者向け】
文庫結びをアレンジしたカジュアルで可愛い結び方。
作り方は、とっても簡単です。
- リボンを作る(※文庫結び参照)
- 余った帯を上からバサっと被せる
最初からあえて「くずし」を入れることで、カジュアルで可愛い印象を与えます。
カルタ結び 【初心者向け】
パズルのように、パタパタと折り畳んでいくだけの初心者向けアレンジです。
厚みがなく平べったい「カルタ結び」は、車や電車での移動など、背もたれに寄りかかるようなシーンで重宝しますよ。
リボン結び【初心者向け】
文庫結びをアレンジした初心者向けの結び方です。
文庫結びと途中まで同じ結び方ですが、リボンを作る際に「じゃばら」に交互に折り返すことで、より立体感のあるリボンが仕上がります。
キュートで可愛い印象を与える「リボン結び」は、こどもの浴衣に合わせても可愛い印象に!
貝の口結び【中級者向け】
メンズライクな「貝の口結び」は、男性の帯の結び方としても親しまれています。
手先を下にして「たれ」で包むように締めていくことで、シンプルでかっこいい印象に。
可愛らしい雰囲気の浴衣に「貝の口結び」を合わせれば、甘すぎない大人のスタイルの完成です。
お太鼓結び【中級者向け】
通常、お太鼓結びは「留袖」や「付け下げ」など格の高い着物に合わせる帯です。
浴衣の記事は基本的に木綿地で作られていますが、最近では高級感のある織りの浴衣も登場しているため、よそいきの浴衣であれば「お太鼓結び」をしても問題ないでしょう。














「結び帯」・「作り帯」メリット・デメリットは?普通の帯とどう違うの?
最近では、より簡単に着付けができる結び帯や作り帯が人気を集めています。
「結び帯」・「作り帯」と半幅帯の違いは次の通りです。
- 胴に巻く「たれ」と飾り部分になる「手」が分かれている
- 飾りがすでに完成している
上記の特徴から、結び帯・作り帯のメリットデメリットをまとめると……
- 帯の飾り部分が完成しているのでわざわざ結ぶ必要がない
- 短時間で着付けが完成する
- 時間が経っても帯の形が綺麗
- 整いすぎて不自然な印象になる
- 通常の帯に比べてやや安っぽい印象を与える
結び帯・作り帯の一番の魅力といえば、その「着脱の簡単さ」です。
着用方法はたったの2ステップ。
- 胴に巻いて紐で結ぶ
- 飾り部分を差し込んで紐で結ぶ
帯結びの練習する時間がない方でも、サッと着用できるため、1本持っておくと重宝します。
その一方で、通常の半幅帯と比べて「既製品感」「安っぽさ」が出てしまうのは致し方ありません。














浴衣の着付けのポイント3つ!浴衣のお悩み・疑問をQ &Aで解決!
普段はなかなか着る機会のない浴衣。
いざ、着付けを始めようとすると「浴衣の襟は、左右どっちが前だっけ?」「おはしょりってどうやったら綺麗になるの?」など色々と戸惑うことも多いのではないでしょうか。














Q1.浴衣は左前と右前どっちが正しいの?
A. 浴衣は男女共に「右前」が正しい着方です。
「左前」は亡くなった方の合わせ方とされていますので、間違えないようにしましょう。
そうは言っても、この「右前」という言い回しが、非常にややこしいため、
- 自分が着たときに手前?
- 右手、左手?どういう意味?
など、頭が混乱するのも無理はありません。
そこで今回は絶対に間違えない「右前」の覚え方をご紹介します。
着物女子流・浴衣の「右前」を一度で覚える方法
当サイトがおすすめする浴衣の「右前」の覚え方は、
「右手で襟元の懐に手を入れることができる形」です。
きちんと右前ができていれば、スッと懐に手が入ります。反対に左前で着用すると、手を入れることはできません。
これと同じくらい有名な覚え方として、
「相手側から前合わせの部分が小文字の『y 』に見える」、などがあります。
Q2.「おはしょりの理想の長さ」はどれくらい?
A おはしょりの長さは人差指1本分が目安です。
体格や身長にもよりますが、帯の下から見えるおはしょりの長さは、人差指1本分が理想的。長すぎるとだらしなく、短すぎると太って見えてしまうため、上手に調整しましょう。
おさらい おはしょりについて
おはしょりとは、腰ひもを締めたあとにできる折り返し部分のこと。
正しい補正で「おはしょり」の悩みを解消!
「汚い」「長い」「短い」「もたつく」「膨らむ」……など、浴衣の着付けを行う上で、何かと悩みの種となる「おはしょり問題」。
しかし、これらのお悩みを一気に解消し「綺麗なおはしょりを作る方法」があります。
それは、着付け前に正しい「補正」を行うこと。














まさに「補正を制するものは、おはしょりを制する」ですね。
具体的にできることは……
- 肌襦袢(はだじゅばん)または専用下着を着用する
- ウエストが細い人は事前にタオルで補正する
- コーリングベルト・伊達締め(だてじめ)を使ってしっかり固定する
- おはしょりを伸ばすときは地面に平行・垂直にピンッとひっぱる
上記の4つです。
事前に補正をしておけば、大方のもたつきやふくらみは解決できます。
「着付け中にしっかり手で押さえるのが難しい……」という方は、コーリングベルトや伊達締めを使ってしっかり固定しましょう。
もたつきやシワを伸ばす際には、あちこちに引き延ばすのではなく、必ず地面に平行・垂直に均一に力を加えて引っ張ることも大切です。
Q3.浴衣が着崩れしたらどうしたらいい?簡単に直す方法が知りたい!
どれだけ丁寧に着付けた浴衣も、長時間着用すれば「着崩れ」は避けられません。
そうは言っても、乱れた浴衣ではお出かけを楽しめませんよね。
ここでは、襟と裾の着崩れを直す簡単なポイントをご紹介します。
襟の着崩れの直し方
襟元が緩むと、しだいに胸元がはだけてだらしない印象を与えてしまいます。乱れていないかこまめにチェックしましょう。
① 左手の身八つ口(脇下の空洞部分)に手を入れます。
② 下前の襟を引っ張ります。
③上前の襟とのバランスを整えます。
裾の着崩れの直し方
電車に乗って、お祭り会場まで歩いていると「気がついたら浴衣の裾が広がっている!」ということがよくあります。下駄で踏んでしまうと危ないので、早めに直しましょう。
① おはしょりの内側をめくるって上にひっぱる
たったこれだけで、裾が上がってすっきりとした印象に!














「浴衣の着付けの基本」と「簡単帯アレンジ」!初心者でも着崩れしない着方をご紹介!【まとめ】
今回は、浴衣の着付けの基本と簡単な帯アレンジについてご紹介しましたがいかがだったでしょうか?
浴衣の着付けは基本のコツさえおさえれば、ひとりでもスムーズに着られるようになります。
これまで「浴衣の着付けは難しそう……」と諦めていた方も、これを機に着崩れしない浴衣の着付けをマスターして、楽しい夏をお過ごしください!